バットにボールが当たり、自分のところへ飛んで来るまでの時間は
体感的に1秒あるかないか(内野の守備の場合)。
抜けるか抜けないかのヒット性の当たりをキャッチするために
飛び込んだときには、すでにボールがグローブにおさまっている状態。
カキーン! バシッ!てな感じ。
このとき、ボールが来た!→ジャンプ!と脳から指令が出ているわけじゃなく
カキーン!のときには、身体が勝手に動いている。
これぞ、練習のたまもの。
日常生活にも同じようなことは、たまに起きる。
電車で座っていると目の前にお年寄りがやってきて、
いつもは「断られたらどうしよう?」と悩んだ挙句に結局は席をゆずれないのだが、
今日は違った。
ぼぉ〜っと上をみながら考えごとしてるとき
目の前におばあちゃんがやってきた瞬間、
さっと立ち上がり、さっと右手でどうぞ、した。
この間、無意識でわずか2、3秒。
おばあちゃんは「ありがとう」を言ってくれた。
うれしかった。
が、
何度も「ありがとう」「助かるわ」、「本当にありがとうね」というので、
はずかしさのあまり、「次で降りますから」と、嘘をついて電車を降りた。
嘘をついたのも、とっさのことで無意識だった。
場の空気感に耐えられなかった。
席をゆずる問題は、ゆずるにしろ、ゆずらないにしろ
どちらにしても相当むずかしい問題だ。