子どもがひとりで立てるようになったころ、
久々に家族旅行でもと和歌山県のアドベンチャーワールドへ行った。
大阪から車で大体3時間程度。
しょっちゅう行けるところでもなく、めったい行けない家族旅行、
小さな子どもが楽しめるだろうと選んだ場所だった。
パンダに出会えて、イルカショーもあって、
ライオンやトラなどの肉食動物にも急接近できる。
間近で見る動物に、子どもはかなり驚くであろうと期待は高まっていた。
そして予想通り、トラやライオンを見て、怖い!怖い!と相当怖がる子どもの横で
「大丈夫、大丈夫」と動じない父親を演じていた。
子どもの機嫌が悪くならないうちにと、次はイルカのショーを見ることにした。
早めに会場へ行き、これなら大丈夫だろうと場所を確保。
その時だった。座った席の2列先に、
以前に付き合っていた彼女の姿を発見。
近年まれに見るほどに動じまくった。
ばったり向き合うのが怖い…。何を話して良いかわからない…。
まさかな…と、もう一度じっくり見たが間違いない。
たしか遊ぼうと呼び出されて会ったものの、
用事ができたからと駅に置き去りにされて以来、
10年ぶりくらいの再会。
向こうも家族できているようだったので、話しかけることはしなかった。
というか、「元気そうだね」とか僕から気軽に話しかけられるような
きれいな別れ方はしていなかったと思う。
相当、彼女を傷つけた記憶が蘇る…。
イルカショーを見たあとも、
園内でちょこちょこと視界に入ってくる元彼女。
向こうは気づいてないかもしれないが、
気づいてしまったこちらは、はち合わせしないように常にどきどき。
違う意味でのアドベンチャーが展開されていた。
こんな形で会うなんて、宝くじに当たるくらいの確率ではないか。
神様のいたずらか? 必然か?
はじめてのアドベンチャーワールドでの記憶は、
残念ながらそれしか残ってない。