「あきらめなれば奇跡はおこる」こともあるかもしれない。




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朝からバタバタと出かける準備をしていると
百が駆け寄ってきて「サイコロ勝負をしよう」と言いだした。

どうやら、勝ったほうがチョコレートを食べられるということのようで、
ただ単にチョコレートが食べたかったのをストレートに言うと
朝からお菓子はダメだと言われるのが嫌だったので
ギャンブルに転換したようだった。

先に投げたいというので、何か秘策でもあるだろうかと
そうさせてあげると上に投げて落とすという、いたって普通のサイコロ投法。

きっと以前に[6]を出したときの投法だったのだろうが、今回は[1]。
負けを覚悟したのか、百は泣き出してしまった。

「まだ勝負は終わっていない。あきらめるな!」と僕は百をなだめて
サイコロを振った。出た目は[1]。

「同点だから、もう一回だ」と、もう一度、百にサイコロを振らせた。
そしてまた[1]が出た。

ある意味すごい確率なのだが、またしても希望を見失い、
百は泣き出してしまった。

もう一度、あきらめるな! と励まして
僕はサイコロを振り、出た目は[1]。

この時点で、もう朝からチョコレートがどうだとかはどうでもよく、
“勝負を最後まであきらめない”気持ちを学んで欲しいという熱血な気持ちになっていた。

泣き止まないので、次は僕からサイコロを振った。[6]が出た…
さらに泣き続ける百にサイコロを持たせて振らせると、

また[1]が出た。
あまりに泣くので、[1][1][1]で、これは奇跡に近い。
確率変動、大当たりということで、チョコを渡して泣きやませたのだった。

「あきらめなければ奇跡はおこる」こともある、が
だからと言って勝てるとは限らない。

しかし、いいことはきっとある。
ということを、百はサイコロ勝負で学んだのではなかろうか。