命名。「百」と書いて“もも”と読む。




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妻から懐妊の報告を受けたときは、家族が増えるという喜びと同時に、俺は大丈夫なのだろうかという不安と、
まだ仕事も半人前の自分に対する焦りと、何の準備もしていなかった未来に対する怖さや、
なんやかんやといろいろな感情が入り混じった「おぉ~そ、う、かぁ。」という、
妻の期待を大幅に裏切るリアクションをとったことを覚えている。

その後は、誰かが言っていたように“もっと責任感を持って生きるぞ”と考えるものの、
そんなすぐに人は変われるものではなく、立派な父になるぞと頑張ってみて、
空回りして、打ちのめされてを繰り返す日々を送っていた。

そんな中、コピーライターとして腕の見せ所でもある「子どもの名付け」を妻に依頼された。
呼びやすいとか、字画とか、漢字の見栄えとか、持てる力を駆使して思案していた。
生まれるまでにまだ時間はある。じっくり最高の名前を考えるつもりだった。

ところがある日、妻が“もも”が良いと、僕より先に言い出してしまい、もうテコでも動かない状況となった。
それまでに僕が考えた様々な案をぶつけた。どれもはじき返された。

そうだった、妻が一旦決めてしまったらそれを動かすのは、ややこしいクライアントにややこしいことを言われたとき以上に難しい…。
僕は命名という大仕事を逃してはならぬと必死に食らいつき、何とか漢字を考えるという部分を任せてもらえることになった。
桃、桃子、桃花、百々…。

そして「百」を見つけた。
「生まれてきただけで百点満点、生きてるだけで百点満点の“百”」

長い人生いろんな苦難があるだろうけど、そんなときに自分の名前が生きる力になればと思った。
これから先何があっても君は百点なんだからという究極の親バカネームを僕はつけた。

あと、テストで0点を採っても、その答案には「百」が刻まれるという素晴らしさ。
自己紹介のネタにも事欠かないだろう。

さらに、4/1のエイプリルフールに生まれたというおまけも付いたし。